ドナルド・キーン先生と出会う

 

私の目の前に

 

あの

ドナルド・キーン先生が

いらっしゃる・・・

 

握手をした

その手は

柔らかく、温かく、

 

その手が生み出した

偉大な作品のことを考えると

 

感動で鳥肌がたつのと同時に

動けないほどの衝撃を受けました。

 

本当に夢のような

幸せな時間を過ごさせて

いただきました。

 

 

2013年12月14日(土)

 

福岡市の「電気ビル本館」にて

ドナルド・キーン講演会が開催。

 

会場は満席。

臨時で席数を増やすほど大人気です。

 

まず、先生は

「生きる伝説」であり、

 

現在、全世界で「古事記」から

「現代」までの日本文学を

これほどまでに語れる人はいない。

 

あの三島由紀夫や

司馬遼太郎にも愛された

日本文学の研究者であり、

偉大なる作家です。

 

また、今まで世界に

日本文化を紹介した貢献は

計り知れないほど大きく、

 

さらに東日本大震災後、

90歳になって

日本国籍を取得されるほど

この国を愛している方です。

 

 

さらに、

 

今回は嬉しいことに

国際基督教大学の

ツベタナ・クリステワ先生のお話も

聞けるということで

有意義な時間になりました。

 

ドナルド・キーン先生はアメリカ人、

そして

ツベタナ・クリステワ先生は

ブルガリア人という外国の方だからこそ、

 

日本という国の特徴が

私達、日本人よりも

客観的に見えるのだと思いました。

 

お二人の

その知識は、膨大なもので

日本人の私達が忘れてしまったものを

逆に教えられるのです。

 

驚いたのは、

俳句が世界中で現在も愛されていること。

 

アメリカでは授業で、また

ヨーロッパ

ブルガリアや、エストニアでも

愛されているとのことでした。

 

さらに、

1,000年以上前の「言葉や文法」を

今も使って歌を作る日本のような国は

世界のどこにもない。

 

日本の文化は

まぎれもなく

「全世界にとって重要な財産」である。

 

そう

ドナルド・キーン先生は説明されます。

 

先生はインドの詩人であり

ノーベル文学賞を受賞した

ラビンドラナート・タゴールの言葉を

紹介されました。

 

「日本が自分の偉大さを

認識することを怠ろうとする、

正に差し迫った危険にあるかに見える今日、

その日本に、

日本は一つの完全な形式をもった

文化を生んで来たのであり、

 

美の中に真理を、

真理の中に美を見抜く視覚を

発展させて来た、そのことを

再び思い起こさせることは、

私のような外来者の責任であると思います。

 

日本は、明確で、

完全な何ものかを樹立して来たのです。

 

それが何であるかは、あなたがたご自身よりも、

外国人にとって、

もっと容易に知ることが出来るのであります。

 

それは紛れもなく、

全人類にとって貴重なものです。

 

それは、多くの民族の中で

日本だけが、単なる適応の力からではなく、

その内面の魂の底から

生み出して来たものなのです。」

 

※1916年、タゴールが初めての日本訪問の折、

慶応義塾大学で「日本の精神」と題して行った

講演の抜粋。

 

そして

ドナルド・キーン先生は

具体的な俳句を紹介しながら

私達に日本の美を解説されました。

 

 

 

例えば

「日本の短詩型文学の魅力」として

 

有名な「松尾芭蕉」の

 

「閑さや岩にしみ入る蝉の声」

という俳句を紹介されました。

 

この主題は「閑さ」にあります。

しかし、それを知るために

「音」がなければならない。

 

山寺の静寂は、絶え間ない

蝉の音によって乱されています。

 

ふと

鳴きやんだ一瞬には、

岩にしみ入るばかりの静けさである。

という俳句なのですが、

 

声に出して読む「音」に

注目すると

 

シ(イ)ーッ

ずかさや

(イ)ーッわに

シ(イ)ーッ

(イ)ーッ

セミ(イ)ーッ

の声

 

 

ミイーンッ

ミイーンッ

ミイーンッ

 

という蝉の鳴く「音」の

つながりが「視覚」として

そこに浮かび上がってくる

のです。

 

この音の響きがあって

ふと

鳴きやんだ一瞬の静寂に

 

永遠なるものと

瞬間的なものを

対比させることによって

 

17文字の中に

「宇宙を創造する」ことに成功している。

 

他にも

「夏草や つわものどもが夢の跡」

 

なつくさや

つわ

も「オ」ーの

ども「オ」ーが

夢の「オ」ー

あと「オ」ー

 

「オー」

「オー」

「オー」

「オー」

という悲劇的な表現の

「音」が隠されている。

 

「あいうえお」という母音が

「あ」は広がる発展するイメージ

「お」は悲しいイメージを

言葉の中に持って日本語は存在している。

 

それを短い俳句の中に

閉じ込め芸術にしてしまった

日本人の感性。

 

不易流行。

永遠の投射としての瞬間。

 

俳句より短い文学はあり得ない。

だから世界に広がった・・・

とドナルド先生は語ります。

 

例えば

オペラが3時間で

説明する芸術であったとして

 

俳句は「17文字」

数秒で説明する芸術。

 

たった「17文字」という

短い中では

自分の気持ちを全て語れない。

 

だからこそ「暗示」されたものがあり、

その中に「日本の美学」がある。

 

また、日本人の「数」への特徴を

教えていただきました。

 

7 5 3(しちごさん)

のように

日本人は奇数を好む。

 

俳句や短歌も

五・七・五や

五・七・五・七・七

など

偶数がない。

 

世界的には

イエスかノーか、

「偶数」が重用とされる中、

 

あえて割り切れない

「奇数」を好む。

 

その理由として

2つの間にもう1つの「間」

があって3になる

 

日本文化で大切な「間」の

存在を説明されました。

 

私達の居合道でも

「間合い」が重要とされます。

 

 

「間合い」の「間」を間違えると

「魔」になって敵に斬られてしまう。

 

書道も「墨」のところを見るのではなく、

空白の「間」を見ると言います。

 

「床の間」「間に合う」など

私達の生活には

よく「間」という文字を使い、

間が悪いと「間抜け」と言われる。

 

もっと言うなら「人の間」と書いて「人間」。

「間」は日本人にとって重要です。

 

しかし、

ビジネスや政治の世界では

「白か黒」か割り切れる意見を求められ、

世界では「あいまい」な表現と批判される

日本人。

 

たしかに

はっきりしないのも問題ですが

 

人の心は、そもそもあいまいで

好きでも、直接言うのは照れるから、

 

自然の風景を詠みながら、

恋の心を美しく伝える和歌のような感覚が

日本の伝統的な「美」としてきました。

 

この「間」の中に

「平和」になる大切なものが

あると感じる。

 

共存・共創し合える日を築き上げる、

人類の可能性と知恵が

そこにあると思うのです。

 

だからこそ、世界中の皆様が

日本の文化を必要とするのでは

ないでしょうか?

 

 

最期に

ツベタナ先生が紹介されたのは

 

芭蕉の句

「秋深き となりは何をする人ぞ」でした。

 

秋が深まり寒くなってきた

今まで開けていた障子戸や雨戸が閉められ、

隣りに住む人の様子が解らず、

 

大丈夫かな?

ちゃんとご飯は食べているのかな?

風邪はひいていないかな?

 

という何気なく隣りに住む人を

気遣う優しさが

この短い俳句の中に込めれています。

 

現代では、隣りに住む人が

どんな人か解らない・・・

という寂しい時代になってきている

 

もっと若い世代に

日本文学の中から

日本人の持つ「優しさ」を知ってもらい

この文化を心の支えにしてほしい

とツベタナ先生は説明されました。

 

文法はどうでもいい。

それよりも

若い世代に教えなければないのは

心の文化。

と先生は説明されました。

 

俳句や和歌を通じて

人は昔も今も同じなのだ

ということを

あらためて考えさせられました。

 

 

あっと言う間に2時間半が過ぎ、

講演会は終了。

 

お二人に

直筆のサインをいただき

お話させていただき

とても嬉しかったです。

 

日本古典文学はこれからも

生き続ける。

 

武士の時代も

未来に生きる人達にも

変わらない美しさで

輝き続ける・・・

 

本日は本当にありがとうございました。

また、福岡ユネスコ協会の皆様にも

心より感謝申しあげます。

 

家に帰っても

今日の興奮が さめません。

ありがとうございました。

 

 

お知らせ:2013年12月29日(日)

よる7:00〜8:54 BS-TBSにて

ドナルド・キーン先生と

瀬戸内寂聴さんの対談

ニッポン不易流行が放送されます。

 

おふたりはともに1922年(大正11年)

生まれの現在91歳。

「ニッポン不易流行」と題し、

過去・現在・未来を繋ぐであろう

20年をタームに、

戦後日本は、そして日本人はどう変わったのか、

その変化を「文学」を軸に

語り合って頂く番組です。

どうぞお楽しみに!

 

番組公式サイトはコチラ

 

 

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