同田貫(その3)

 

 

 

ここは

熊本県「山鹿市」にあります

「鞠智城」。

 

鞠智城は、7世紀後半

今から約1300年前に

 

大陸と緊張が増すなかで、

大和朝廷が築いた

古代山城のひとつです。

 

 

本日の

同田貫を訪ねて(その3)は

 

ここ「鞠智城」で

2016年8月に参加させて頂いた

素敵なイベントの様子をお伝えします。

 

同田貫なのに

なぜ?「鞠智城」・・と思われる方も

いらっしゃると思いますが

 

それが「同田貫」と

とても深い関係がありましたので

ぜひ、ご覧下さい。

 

 

ちなみに今回から見られる方は

前の記事

 

同田貫(その1)

同田貫(その2)

 

も、よろしければ ご覧ください。

 

 

 

 

さて、

 

時代はさかのぼって660年、

 

唐と新羅の連合軍によって

日本と友好関係にあった百済が

滅ぼされます。

 

日本は

百済に援軍を送り込みますが

663年「白村江の戦い」で大敗。

 

その結果、唐、新羅から日本が

侵攻の危機に

さらされることになりました。

 

その時代の地図がこちら

 

資料:熊本県教育委員会

鞠智城 鞠智城の築城とその変遷より

 

 

 

九州に住んでいますと

 

近所のいたるところに

この時代の遺跡が溢れています。

 

例えば、

博多側から南下してきますと

 

太宰府市に入ってすぐに

 

道路や線路を横切る木立におおわれた

防塁跡がございます。

 

それが「水城跡」。

 

この「水城跡」などが

まさに「鞠智城」の時代のものです。

 

 

写真は、春の「水城跡」。

夕方だったので

せっかくの桜の美しさを

表現できておりませんが

 

天気の良い日は

こんな感じです。

 

 

写真は秋、

コスモスが咲いています。

むこうに見えるのが九州自動車道。

 

福岡〜熊本では

おなじみの景色ですが、

興味のない人達にとっては

これが古代の日本人が命懸けで作った

防塁跡とは思わないでしょうね・・・

 

 

この「水城跡」。

 

唐と新羅の攻撃に備えて

全長1.2kmにわたり、

人間が作った「防衛施設」で

 

これを

人が作ったと考えたら

その当時の日本が、どれだれ

大陸との戦いで必死だったか

が理解できます。

 

 

これを

1300年前に人が作ったんですね・・・

 

ちなみに地元では

「百済人」と一緒に作った

と言われていて、

 

「日本書記」には、

百済の亡命貴族が

築城を指導したことが記載されています。

 

その規模は全長1.2kmにわたり、

基底部で幅80m、

高さ13mを越える人工の土塁(堤防)を築き、

 

その博多湾側に幅60m、

深さ4mの堀をつくり、水を貯えたといいます。

 

当時、パスポートなどなかった時代に

大陸と日本では頻繁に交流もあり、

争いもありました。

 

663年の白村江で大敗した後、

唐・新羅の連合軍によって日本は

侵攻の脅威にさらされることになります。

 

そこで、大和朝廷は

西日本の各地に

城を築いて防衛体制を強化します。

 

こうして古代に「山城」が誕生し、

「鞠智城」も誕生したのです。

 

 

ちなみに

 

この「鞠智城」は

防衛施設としてだけでなく、

 

食料や武器などを

前線へ供給するための

「兵站(へいたん)」も

建てられました。

 

ちなみに

「兵站(へいたん)」とは

戦闘部隊の後方にあって、

人員・兵器・食糧などの前送・補給にあたり、

また、後方連絡線の確保にあたる

活動機能のこと。

 

そこで今回のテーマ

「同田貫」と「鞠智城」の関係と

つながってくるのです。

 

 

そこで、

 

それを学べる素敵なイベントが

こちら

平成28年度事業

「鞠智城」と「同田貫」誕生秘話

「館長と歩く同田貫屋敷跡」です。

 

 

主催:歴史公園鞠智城・温故創成生館

 

実際に初日に申込み

参加してまいりました。

 

参加された方には

遠く神奈川県から来られた方も

いらっしゃって

地元としては大変嬉しく思います。

 

 

 

私達を出迎えてくれたのは

 

熊本県「鞠智城」を守る

キュートな防人(さきもり)

ころう君です。

 

 

 

 

かわいいですね。

 

熊本には

「くまもん」だけじゃないんです。

 

ころう君は

 

熊本県山鹿市と

菊池市にまたがる

歴史公園・鞠智城(きくちじょう)が

有名になることを夢見て、

 

ころう君体操を踊りながら

各地を巡回しています。

 

ぜひ、応援してください!

 

ちなみに

ゆるキャラグランプリ公式サイトはコチラ

 

 

 

 

天気も快晴。

 

さっそく「同田貫屋敷跡」をめぐる

ツアーに参加するのですが、

 

その前に、

 

温故創生館の

西住 欣一郎館長による

ご挨拶と貴重なお話を

聞かせていただきました。

 

 

 

 

この後の資料で

見せていただいたのが

 

鞴(ふいご)の羽口。

 

まず、鞴(ふいご)とは

 

鉄器を加熱して鍛える際に

炉の中の火力を高めるために

空気を送る装置のことで、

 

羽口は空気を鞴から

炉に送る送風管のことをいいます。

 

 

貯水池跡出土遺物

左:ふいごの羽口 右:スラグ

資料:歴史公園鞠智城・温故創成生館資料より

 

 

この

上端部と下端部とが欠損した状態の

鞴の羽口が

 

鞠智城の貯水池跡から出土しています。

 

 

また、

この遺物には二次焼成の痕跡があり、

 

鍛冶を行う時の

鞴の羽口として使用したものと

考えることができます。

 

 

この他、同じく貯水池層から

7世紀後半〜8世紀後半と考えられる

土師器と須恵器も出土。

 

 

貯水池跡出土遺物 うるし付着の須恵器

資料:歴史公園鞠智城・温故創成生館資料より

 

ちなみに

鞠智城以外の古代山城で

鍛冶関連資料が確認されているのは

7箇所あり、

 

それらは、鬼城山、大廻小廻山城、

永納山城、怡土城、鹿毛馬神籠石、

大野城、金田城で

 

 

これらの中で鍛冶炉を確認しているのは

鬼城山と永納山城とのこと。

 

 

鬼城山を調べた結果、

 

製鉄遺跡で生産された原料鉄が

鬼城山に搬入され、

 

鍛錬鍛冶を行っていたことが

鉄滓の分析で明らかにされています。

 

 

つまり、城外から持ち込まれた

鉄原料を用いて、

 

築城に必要な加工工具や

釘等の建築材を城内の鍛冶で

生産する体制が整っていたことになります。

 

 

 

 

 

このように

鬼城山と永納山城を調べた結果、

 

鞠智城跡出土遺物も

鍛冶遺構に伴うものと考えることができ、

 

鞠智城跡の出土地点は

貯水池跡であり、この場所は

鍛冶作業に不可欠な水の確保が

容易な場所であったこと、

 

鞴の羽口、鉄滓が別の遺跡から

搬入されたとは考えらず、

鞠智城内の貯水池跡周辺の末調査箇所に

鍛冶遺跡が存在している想定ができる

とのことでした。

 

資料:鞠智城研究(創刊号)2015

歴史公園鞠智城・温故創成生館資料より

 

 

 

 

驚いたのは

この鞠智城と貯水池から

歩いていける距離に

 

なんと

「同田貫の屋敷跡」があるのです。

 

地図には、前回の記事で紹介した

菊池市の「稗方地区」があります。

 

 

 

 

なるほど・・・

 

そういうことだったのですね。

 

古代の製鉄と「同田貫」は

繋がっていたという事実。

 

 

 

稗方地区に古くから伝わる踊りに

日本刀を使って踊るものがあったり、

 

 

 

今でも鉄サビのついた石が

農地から見つかったりするのは

この鞠智城の製鉄文化と関係があるようです。

 

 

それでは実際に

 

同田貫発祥の地

「同田貫の屋敷跡」に行ってみたいと思います。

 

 

「同田貫」は(その4)へ続きます。

 

 

連絡先:歴史公園鞠智城・温故創成生館 公式サイト

〒861-0425

山鹿市菊鹿町米原443-1

休館日:月曜日(但し、祝祭日の場合は翌日)

12/25〜1/4まで

電話:0968-48-3178

 

 

 

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